peer review 2.0


研究者が書く学術論文は、ジャーナルと呼ばれる雑誌に掲載されます。
このジャーナルというのは、大きく分けてNature、Cellといった商業誌と、Scienceをはじめとした学会誌に分けられますが、双方とも雑誌に掲載されるにはレビューアーと呼ばれる専門家による査読を経る必要があります。*1

この方式はピア・レビュー方式と呼ばれていて、雑誌掲載以外にも、研究費の審査などにも活用されています。


今回、化学者のつぶやきを読んでいたらとても面白い試みを見つけました。1年以上前の記事なのですが、とっても面白かったので備忘録代わりに記載します。
http://www.chem-station.com/blog/2009/07/post-102.html#more

そもそもの発端は、JACS・ASAPに掲載された以下の論文です。

Reductive and Transition-Metal-Free: Oxidation of Secondary Alcohols by Sodium Hydride
Wang, X.; Zhang B.; Wang, D. Z. J. Am. Chem. Soc. 2009, ASAP doi:10.1021/ja904224y

この論文は、「水素化ナトリウム(NaH)が、ある種の二級ベンジルアルコールの酸化剤として働いてケトンを与える」という内容のようで、どうやら化学者にとっては常識はずれの論文のようです。

どの辺が常識はずれなのか気になる方は、「化学者のつぶやき」さんに詳しく書いてあるのでぜひ読んでみてくださいネ。
http://www.chem-station.com/blog/2009/07/post-102.html#more


この反応を不思議に思った研究者が続出したようです。通常こういった追試は研究室内で共有されるだけなのですが、今回、結果がTotallySynthetic.comというブログにのったおかげでブログ上で熱いディスカッションが行われていました。しかもなんと再現性がとれ、この現象に対する解釈可能な結論まででてるみたい。


こういう試みってすごいですよね。

*1:レビューアーに査読してもらえる論文は、編集者の1次チェックを通過した論文だけです。