核小体について


最近核小体について勉強しているので、備忘録代わりに記載。
核小体とは、

真核生物の細胞核の中に存在する、分子密度の高い領域で、rRNAの転写やリボソームの構築が行われる場所のこと。生体膜によって明確に区分される構造ではない。成長期の細胞や活発な機能する細胞でよく発達する。

wikipediaより抜粋)


遺伝子情報からタンパク質への合成は「DNA→(転写)→mRNA→(翻訳)→タンパク質」の順におこっている。遺伝子のほとんどはゲノム中に1つしか存在しないため、あるタンパク質が多量に合成する場合には、「DNA→mRNA→タンパク質」の流れを促進する必要がある。つまり、翻訳過程に必須となるリボソームリボソームRNA(rRNA)も豊富に供給される必要がある。


ところで、rRNA自身はタンパク質ではなくあくまでもRNAである。なので、量を増やすためにはDNAからの転写量を増やす必要がある。ヒトの細胞には約200個のrRNA遺伝子がある。このrRNAをDNAから転写している場所が核小体である。


核小体は非常に不思議な構造で、その外観は細胞周期の間に劇的に変化する。どういうことかというと、細胞の分裂期が近づくと核小体は小さくなりやがて姿を消すのだ*1細胞分裂後期になりrRNAの合成が再開すると小さな核小体が出現し、成長する。


その不思議な構造もあり核小体は古くから研究対象になっていた。今から約100年前の1898年に書かれた総説に700もの参考文献が取り上げられているらしい*2。にもかかわらず、その後の研究はあまり進まずいまだ未知な部分が多い。近年、核小体に存在するタンパク質の解析が行われた。その結果、約700のタンパク質が存在することがわかった。癌に関連する因子も見つかったりしているが、これらの因子が何をしているのか興味のあるところだ。


http://jvi.asm.org/content/vol76/issue23/cover.dtl
青:核、ピンク:核小体、緑:細胞質
(画像引用もと:Journal of Virology)



◆おまけ
核小体について調べていたら、理研CDBで「哺乳類の受精卵の発生には卵子由来の核小体が重要」という研究成果を発表していたことがわかった。材料として物理的に核小体をとった細胞を使っているみたいだけど、染色体が壊れても支障がない実験だったのだろうか???
あとで読んでみよう。

*1:酵母など一部の生物では消えずに残っている

*2:出展:The Cell 3rd