「星を継ぐもの」を読む

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)


この本は本ハードSF小説とカテゴリーされるみたいだけど、ミステリー小説として、とってもおもしろかった。(実際に、ミステリ専門誌にレビューが載ったらしい。)


内容は「月面で死後5万年経過している地球人そっくりの死体が見つかった。研究者(物理学者、生物学者、数学者、言語学者等)が協力し、1)彼は何者なのか、2)なぜそこにいるのか。3)地球人との関係は。といった謎を解き明かして行く」というもの。


物語では、登場人物である科学者たちが証拠あつめ、アイデア(仮説)を語り、反論・対立し、本質に迫っていく過程が、生き生きとかかれている。私は科学の楽しさは「パーツを組み合わせ仮説を考え証明する」という思考過程にある思っているので、これを疑似体験できる本書はとてもおもしろかった。


ところで、私は「head fake」に興味を持っている。そのものズバリで「科学」を伝えようとすると小難しいイメージがあるので「head fake」を活用し、科学っておもしろいんだねぇ。って言われるようなサイエンス・コミュニケーション方法がないか考えていた。今回この本を読んで「謎解き」はおもしろいと思った。


ちなみに、私が読む前に考えた仮説は、「未来の地球人がタイムマシンを作り、5万年前の月に到着。しかし運悪くそこで死んでしまった。」というもの。本の結末は全然違かった(笑)。