大学の知財戦略を考える
BioExpo2009に参加し下記セッションを聞いてきた。
- Merck、株式会社イーベックが講演した、「ファーマ パートナリング サミット」
- 中国、インドの特許戦略の「アジアからみた知的財産制度」
- ファーマ パートナリング サミットについて
株式会社イーベックは、ドイツの製薬大手ベーリンガーインゲルハイムとアライアンスをし、5500万ユーロ(約88億円)調達した会社だ。どの点が評価されて大手製薬企業とアライアンスするに至ったのか聞きたくて参加した。
薬の開発段階をカンタンに以下に記する。
(ここに後で図を入れる)
一般的に、創薬系ベンチャーの取りうるビジネスモデルとしては、〜Phase1臨床が終わった段階辺りで、製薬会社に薬のライセンスを販売したり、会社ごと買ってもらったりする*1のが一般的だ。
一方で、今回の株式会社イーベックとベーリンガーインゲルハイムは、創薬ターゲットの製造方法を確立(強いて言えば、1.薬ターゲットのシーズ探索終了段階)が終了した段階で、アライアンス締結という点が新しい。お金の流れとしては、今回のアライアンスにより生じる1次金(これが今回の88億円、前金)、それぞれマイルストーン(phase1臨床試験、phase2臨床試験)毎の報酬、上市後のライセンス料となる。
株式会社イーベックはEBウィルスによるヒト抗体製造ができることが売りなのだが、製法については特許を保持せず、できあがった抗体を特許化する(物質特許)という戦略を採っている。コカ・コーラのブランド戦略*2と、製造業で見られるOEM供給ビジネスモデルを足しあわせた戦略で面白い。
質疑応答では時間が無かったので公演後名刺交換に行きで、気になっていたことを聞いてみた。
私:「ベーリンガーインゲルハイムの技術ディーデリジェンスはどんなかんじだったのですか?」
土井社長:「いやぁ。超厳しかったですよ!」
・・・。この「超厳しかった」の内容が聞きたいよ〜。ここに大学の知財活用の鍵がある気がするんだけど、簡単には教えてもらえないだろうな。そうすると私の取りうる方法は・・・。
ちなみに、イーベックには、下記の3社が出資しているらしい。さすが!
株式会社ジャフコ
大和SMBCキャピタル株式会社
日本アジア投資株式会社
http://shirokuma.de-blog.jp/hokkaido/2008/10/post_3100.html
Merck、インド・中国の戦略についてはまた後で忘れないうちに記載すべし!
◆おまけ
私のキャリアへの不安は「知って行わざれば、知らざるに同じ」から生じているんだな。できることを一つ一つがんばろう。