ポスドク問題について


ポスドク問題の原因について任期制職の導入、博士過剰、アカデミックポジションの減少、プロジェクトの大型化などいろいろ言われているけど、しっくりしなくて問題の根本はなんなのかずっと考えていた。今日なんとなく思い当たったので忘れる前に備忘録。


そもそも、ポスドク問題とは、wikipediaによると

大学院修了後の職をとりあえずポスドクに求めた大量の博士号取得者の就職問題

ということで、つまり、博士研究員の就職難ということなのだろう。


研究をビジネスとしてとらえると、以下の2つ種類のお金が必要になる。

  1. 研究費
  2. 人件費


日本の科学研究予算はGDP比で世界1位らしいのだが、人件費を確保した人(大学職員とか)でないと研究費に応募できない仕組みになっている。例えば、お茶の水大*1科研費の応募者資格*2は以下の通り。

次の4つの要件をすべて満たすこと
<研究者に係る要件>
1.指定された研究機関に、当該研究機関の研究活動を行うことを職務に含む者として、所属する者であること。(有給・無給、常勤・非常勤、フルタイム・パートタイムの別を問わない。また、研究活動以外のものを主たる職務とする者も含む。)
2.当該研究機関の研究活動に実際に従事していること。(研究の補助は除く)
<研究機関に係る要件>
3.科学研究費補助金が交付された場合に、その研究活動を、当該研究機関の活動として行わせること。
4.科学研究費補助金が交付された場合に、機関として補助金の管理を行うこと。


上記4つの要件を満たし、かつ以下の者とする。
・ 常勤教員
・ 名誉教授 (申請をする場合には教育研究員とし、必ず本学に連絡担当者を置くこと。)
・ 学長
・ 理事
客員教授
・ 特任教授
・ 非常勤講師 (本務をもたない者で、申請に際して本学専任教員が責任を持つ。)
・ リサーチフェロー
・ アソシエートフェロー(申請に際して本学専任教員が責任を持つ。)
・ 人間文化研究所研究員(申請をする場合には必ず本学専任教員を通して行い、この教員が責任を持つ。いつでも大学から連絡が取れる連絡先を事務局に知らせること。)
・ 教務補佐員 ( 上記 人間文化研究所研究員と同様。但し、学生は除く)
・ COE研究員(但し、PD相当の者)
・ COE客員研究員(但し、COEに所属する者)
・ 客員研究員(原則として、本務を持たない者で、申請に際して本学専任教員が責任をもつ。)


大学から給料がもらえないなら、自力で生活費を稼ぐ必要がある思うのだが、肩書きが無い人や本務を持っている人は科研費に応募できないらしい。


マズロー欲求段階説によると、人間の基本的欲求は以下の5段階に分けられる。

1. 生理的欲求
2. 安全の欲求
3. 所属と愛の欲求
4. 承認の欲求
5. 自己実現の欲求


研究者は、「5.自己実現の欲求」が実現しているかなり幸福な状況にあるといえる。それが、いきなり就職難で「1. 生理的欲求」も満足に満たせなくなってしまう。研究費が「所属に関係なく個人で応募できる」とかなり状況が改善されると思うのだがどうだろう*3。すくなくとも、職種の縛りをやめれば良いと思うのだが、科研費の倍率が上がり、研究が続かない、とか他の問題が出てくるのかな??


海外の研究費応募条件あとで調べてみよう。

*1:Google科研費応募資格の検索したらTOPにでてきたため使用。他意はない。

*2:http://www.ocha.ac.jp/research/subsidy/200806meibo/ouboshikaku.pdf

*3:科研費を「生活費としても活用できる」ようにしたらもっとよいと思うけど。