科学技術立国ってなんだろう。


CoSTEPで聞いた大阪大学コミュニケーションデザインセンター教授 小林傳司先生の講義がとても面白かった。「科学技術コミュニケーションと科学リテラシー」という題目で、参考資料としてPISA調査結果及び問題傾向を紹介しつつ、科学技術コミュニケーションが果たす役割を考えていくというもの。


何が面白かったかというと、今の日本が目指している「科学技術立国」の根底には、すべての物事は科学で解決できるいう思想が流れているということが分かったこと。博士まで出ておいてこんなことに気がつかなかったのね。私ってば。


言われて見ると、確かにそうで、多額研究費が捻出されているのも「問題Aが解決できていないのは、根本原因がわからないからだ(研究が足りないからだ。)」という理論なのだ。この考え方の浸透力はすごくて、例えば、科学でない領域でも、大学・研究周りで話題となっているポスドク問題や、研究不正だとかで言われる解決策も、科学的*1な正論*2が多い。根本原因を解決するのが一番なんだろうけど、科学では解決できないこともあると認めた方がカンタンに解決する場合も多いのだ。科学は解決手段の一つにすぎないことを心にとめておこう。

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亡くなられた方のご冥福を祈ると共に、今後この事件が大学、教育品質に与える影響を見守っていきたい。

*1:演算的というのかな?

*2:研究競争が激化してるだとか、そもそも博士が多すぎるだとか、無計画な政府/大学/企業が悪いだとか。